大学生から、海外の飲食ビジネスへ。寿司を学んだことで広がった實石雅巳さんの選択肢
「自分には、何か武器になるスキルがあるのだろうか」
大学生として将来を考える中で、そんな不安を感じる方は少なくありません。
就職するのか。
大学院へ進むのか。
海外へ行くのか。
それとも、自分で事業をつくるのか。
選択肢が多いからこそ、何を選べばよいのか分からなくなることがあります。
今回ご紹介するのは、飲食人大学 東京校29期を卒業した實石雅巳さんです。
實石さんは、入学前は経営学を学ぶ大学生でした。飲食経験は特になく、自分の強みや、やりたい仕事が見つからないことに悩んでいたといいます。
そんな中で出会ったのが、寿司という技術でした。
現在は、ヨーロッパでマーケティングを学びながら、メキシコの日系企業で飲食事業に携わり、新店舗の開店準備、店舗マーケティング、FL管理、採用、寿司技術のAI活用に関する研究など、幅広い仕事に取り組んでいます。
寿司職人として働くだけではなく、海外の飲食ビジネスに関わる。
實石さんにとって、寿司を学んだ経験は、仕事の選択肢を広げるきっかけになりました。
■ 自分のスキルがない。将来の道が見えなかった大学時代
飲食人大学へ入学する前、實石さんは経営学を学ぶ大学生でした。
当時悩んでいたのは、自分のスキルがないこと。
行きたい企業や、やりたい職種がなかなか見つからないことでした。
海外に行ったとしても、帰ってきた時に自分に何が残るのか。
就職活動をするにしても、自分の強みとして語れるものがあるのか。
そうした不安がありました。
大学で経営を学びながらも、将来の仕事を具体的にイメージしきれない。
その中で、以前から興味を持っていた日本食を本格的に学んでみようと考えるようになります。
■ 海外で見えた、日本食の可能性
實石さんが寿司を学ぼうと思った背景には、海外での経験がありました。
フランスへの交換留学を通じて、日本食の見え方が変わったといいます。
海外には日本食レストランがあります。
しかし、地域によっては、本格的な日本食というよりも、現地化された料理や、日本食に近い料理として提供されているものもあります。
その状況を見て、實石さんは「海外でレストランを開くなら、日本料理のことをきちんと知っておく必要がある」と感じました。
海外に行ったからこそ、日本のことをもっと知る必要がある。
日本食を学ぶことは、単に料理を覚えることではありません。
海外でビジネスを考える上で、日本の食文化を自分の言葉で語れるようになることでもあります。
■ 寿司なら、海外で武器になる
實石さんは、もともと料理が好きでした。
大学生の頃から自炊をすることも多く、料理は趣味でもあり、ストレス発散にもなっていたといいます。
そこに、海外で感じた日本食のビジネスチャンスが重なりました。
日本食には、餃子、カツ、ラーメンなど、さまざまな料理があります。
その中でも、海外で「日本らしさ」を強く伝えられる技術の一つが寿司です。
寿司は、日本を代表する食文化であり、海外でも高い認知があります。
そして、魚を捌き、仕込み、握るという技術は、誰でもすぐに身につけられるものではありません。
寿司を学ぶことで、自分の中に一つの武器ができる。
そう考え、實石さんは寿司を本格的に学ぶことを決めました。
■ 留学帰国後の4ヶ月。飲食人大学を選んだ理由
實石さんが飲食人大学を選んだ理由には、タイミングもありました。
フランスの大学から12月に帰国し、次の予定まで約4ヶ月の空き時間がありました。
その時間をどう使うか。
ただ何となく過ごすのではなく、自分の将来につながる学びに使いたい。
そこで、寿司学校を調べ、飲食人大学への入学を決めました。
重視したのは、本格的に学べるかどうか。
短すぎても不安が残る。
長すぎても、大学生活や今後の進路との兼ね合いが難しい。
その中で、3ヶ月間で実践的に学べる飲食人大学のカリキュラムは、實石さんにとって現実的な選択肢でした。
単に「寿司を体験する」のではなく、魚を捌き、仕込み、握り、現場に近い形で学べること。
そこに価値を感じて入学しました。
■ いきなり切り付けから握りまで。スピードの早さに驚いた
実際に入学して最初に感じたのは、授業の進むスピードの早さでした。
「いきなり切り付けから握りまでするのか」
そう驚いた記憶があるといいます。
飲食経験がなかった實石さんにとって、最初は分からないことばかりでした。
魚の扱い方。
包丁の入れ方。
切り付け。
握り。
仕込みの段取り。
しかし、最初の驚きを越えると、あとはついていくしかありません。
毎日学校に通い、目の前の課題に取り組み、小テストにも向き合う。
同じクラスには、料理経験のある生徒もいました。
實石さんは、その同期を目標にしながら、自分の技術を高めていきました。
■ 毎日通うことが、一番大変だった
在学中に一番大変だったこととして、實石さんは「毎日学校に行くこと」を挙げています。
技術そのものだけではなく、3ヶ月間、毎日学び続けること。
それ自体が簡単ではありませんでした。
時には「今日は休もうか」と思う日もあったそうです。
新宿と池袋の間に住み、自転車で通学していたため、雪の日などは特に大変でした。
それでも、休めばその分だけ学習の機会が失われる。
そう自分に言い聞かせ、通い続けました。
寿司の技術は、頭で理解するだけでは身につきません。
毎日手を動かし、魚に触れ、同じ動作を繰り返すことで、少しずつ身体に入っていきます。
その積み重ねが、後の自信につながっていきました。
■ 穴子の骨抜き、卵焼き。苦戦したからこそ残った学び
すべてが順調にできたわけではありません。
實石さんが特に苦戦したのが、穴子の骨抜きと卵焼きでした。
穴子はぬめりがあり、扱いにくく、手を切る可能性もあります。
限られた回数の練習だけで身につけるのは簡単ではありません。
また、卵焼きにも苦戦しました。
クラスの中でも合格が遅く、とにかく練習を重ねて乗り越えたといいます。
寿司の世界では、魚を捌くことや握ることに注目が集まりがちです。
しかし、実際には卵焼き、仕込み、漬け、熟成、細かな包丁仕事など、覚えるべきことは多くあります。
できないことに向き合い、練習を重ねる。
その経験も、3ヶ月間の大切な学びでした。
■ チームで魚を捌く実習で学んだ、現場に近い頭の使い方
實石さんが成長を感じた授業の一つが、複数の魚を時間内にチームで捌く実習です。
これは、実際のレストランに近い頭の使い方が求められる授業でした。
限られた時間の中で、誰が何を担当するのか。
どの順番で作業するのか。
どこで連携するのか。
どうすれば効率よく仕込みを進められるのか。
一人で黙々と作業するだけではなく、チーム全体で動く必要があります。
当時の班には、言語の壁があるメンバーもいました。
その中で、自分たちが中心になって進める場面もありましたが、振り返ると、もっと分担して効率よく進められたのではないかという反省もあったそうです。
しかし、その反省があったからこそ、現場で必要な視点を学ぶことができました。
飲食店の仕事は、一人だけで完結するものではありません。
段取り、分担、連携。
その重要性を、實石さんは実践の中で体感しました。
■ 熟成や漬けで知った、味をつくる技術
印象に残っている授業として、實石さんは縞鯵の熟成を挙げています。
血合いを取り、空気に触れないように管理し、紙を交換しながら1〜2週間寝かせる。
その結果、甘みが増し、魚の味が変化する。
そのおいしさは、今でも強く記憶に残っているそうです。
また、マグロの漬けも印象に残った授業の一つでした。
寿司は、魚を切って握るだけではありません。
素材をどう扱うか。
どのように仕込むか。
どのタイミングで提供するか。
味をどう引き出すか。
こうした技術を学ぶことで、寿司の奥深さを知ることができました。
■ 現在はメキシコで、レストランビジネスに携わる
飲食人大学を卒業後、實石さんはヨーロッパでマーケティングの大学院に進学しました。
現在はその一環として、メキシコにある日系企業でインターンをしながら、飲食事業に携わっています。
仕事内容は、寿司を握ることだけではありません。
新しいレストランの開店準備。
店舗マーケティング。
SNSや広告の運用。
採用活動。
FL管理。
新店舗のヘルプ。
地元企業とのコラボ企画。
寿司技術のAI活用に関する研究。
レストラン事業を、現場、集客、管理、採用、技術教育のさまざまな角度から学んでいます。
FL管理とは、食材費と人件費を売上に対して管理する考え方です。
飲食店を経営する上では、料理の技術だけでなく、数字を見て店舗を運営する力も必要になります。
實石さんは、シェフとしての道だけではなく、経営や店舗開発を中心に、飲食ビジネスに関わっています。
■ 寿司技術をAIで可視化する研究にも参加
現在取り組んでいる仕事の中には、寿司技術をAIで数値化する研究もあります。
たとえば、シェフが握った寿司を基準にし、生徒やスタッフが握った寿司の形を画像で捉え、理想との差を分析する。
その結果をもとに、改善点やアドバイスを出し、技術向上につなげる。
目指しているのは、シェフ育成の現場で役立つ仕組みです。
寿司は職人の感覚に支えられている部分が多い技術です。
一方で、その感覚をどのように伝えるか、どのように再現性を高めるかは、教育の現場でも大きな課題です。
寿司を学んだ経験があるからこそ、技術をどう可視化し、どう教えるかというテーマにも関わることができています。
■ 「寿司を学んだ日本人」という価値
實石さんが、飲食人大学で学んで良かったと感じていることの一つが、海外での自分の価値が上がったことです。
海外では、「日本人で、寿司を学んだ経験がある」ということ自体が、一つの強みになります。
一定の寿司の知識や技術があることは、仕事を探す時に有利に働くことがあります。
日本人が寿司を握れる。
それは海外市場では、ブランド感や信頼につながる場面があります。
もちろん、寿司を学んだからといって、すぐにどこでも通用するわけではありません。
現地の食文化、客層、価格帯、働き方、ローカライズの考え方を理解する必要があります。
海外では、握り寿司よりもロール系が好まれる地域もあります。
本格的な技術を持ちながら、現地のニーズにどう合わせるか。
その視点も、海外の飲食ビジネスでは欠かせません。
■ 寿司職人だけではない、寿司を学んだ先のキャリア
實石さんの現在の仕事は、一般的にイメージされる「寿司職人」とは少し違います。
カウンターで寿司を握るだけではなく、マーケティング、採用、店舗開発、AI研究、人材事業など、幅広い領域に関わっています。
これは、寿司を学んだ先にあるキャリアの一例です。
寿司を学ぶことは、必ずしも「寿司職人になる」ことだけを意味しません。
海外で日本食ビジネスに関わる。
飲食店のマーケティングを行う。
店舗開発に携わる。
人材紹介や教育事業につなげる。
将来的に自分の店や会社を持つ。
寿司の技術を入口に、仕事の選択肢は広がります。
實石さんにとって、飲食人大学での3ヶ月は、海外の飲食ビジネスへ進むための土台になりました。

■ 将来は、海外で飲食・教育・人材の事業を展開したい
今後について、實石さんは、まずあと2〜3年は企業でレストラン事業について学びたいと考えています。
現場の運営。
マーケティング。
採用。
店舗開発。
数字の管理。
シェフ教育。
海外での日本食ビジネス。
これらを実務の中で経験しながら、将来的には飲食に関係する事業を海外で展開したいと考えています。
その中には、料理学校や人材業務も含まれています。
いずれは、自分で会社を持ち、飲食人大学のような学校をヨーロッパで展開したいという思いもあります。
寿司を学んだ経験は、今の仕事だけでなく、将来の事業構想にもつながっています。
■ 入学を検討している方へ
最後に、實石さんは入学を検討している方へ、こう話します。
「卒業後のイメージをしっかり持って入学することが大事だと思います」
寿司を学ぶことは、大きな投資です。
時間もお金もかかります。
だからこそ、流行りや憧れだけで入るのではなく、卒業後に自分がどうなりたいのかを考えておくことが大切です。
寿司職人として働きたいのか。
海外で働きたいのか。
自分の店を持ちたいのか。
飲食ビジネスに関わりたいのか。
日本食を武器に、別の仕事へつなげたいのか。
目的が明確であればあるほど、3ヶ月間で何を吸収すべきかが見えやすくなります。
未経験で不安な方に対しては、こうも話します。
経験があれば、学校に通う必要はないかもしれません。
しかし経験がないからこそ、限られた時間の中でできるだけ練習し、自分のスキルを上げていくことが必要です。
■ 寿司を学ぶことは、将来の選択肢を増やすこと
實石さんの歩みは、寿司を学ぶことの可能性を広げてくれます。
大学生として将来に迷っていた時期。
フランスで感じた日本食の可能性。
飲食人大学での3ヶ月。
そして現在のメキシコでのレストランビジネス。
一つひとつの経験がつながり、今のキャリアにつながっています。
寿司を学ぶことは、寿司職人になるためだけではありません。
海外で働くための武器になる。
飲食ビジネスを学ぶ入口になる。
日本食を世界へ広げる土台になる。
将来、自分の事業をつくるきっかけになる。
飲食人大学では、未経験から寿司職人を目指す方、海外で日本食に関わりたい方、将来飲食店の開業や飲食ビジネスを考えている方に向けて、オープンキャンパス、握り体験会、オンライン個別相談を実施しています。
「自分の武器になる技術を身につけたい」
「海外で働く選択肢を持ちたい」
「日本食を学び、将来の仕事につなげたい」
そう考えている方は、まず実際の授業や学校の雰囲気を確かめてみてください。

