実践形式の授業で掴んだ夢。韓国で寿司職人の道を究める鄭引裕さんの未来への展望とは。

鄭引裕(ジョン・インユウ)
日本食を勉強したいと来日し、広島県の調理学校を卒業後、より深く寿司について学ぶため、飲食人大学に入学。現在は韓国・ソウルの高級寿司店「청담 여백(チョンダム ヨバエク)」にて憧れの寿司職人として活躍中。日韓の文化の違いや、未来への展望について聞きました。
《経歴》
2021年3月 調理学校卒業
2021年6月 飲食人大学(大阪校)寿司マイスター専科 卒業
2021年7月〜 東京・築地「青空三代目」にて勤務
2023年9月〜 韓国・ソウル「청담 여백」にて勤務
夢を追いかけて、さらなる一歩を踏み出す。
——飲食人大学に「入学されるまでの経緯やご経歴」を教えてください。
韓国から来日し、広島にある調理学校で料理の勉強をしましたが、そこではあまり寿司に特化して学べなかったため、より寿司について深く勉強をしたいと思い、飲食人大学に入学することにしました。
——なぜ、寿司職人になろうと思ったのですか?
寿司職人は、お客さんの前で接客しながら、調理・提供する姿が非常にかっこいいと思ったからです。
築地で磨いた技と経験を活かし、韓国・ソウルの高級寿司店で2番手に。
——飲食人大学「卒業後の進路」を教えてください。
卒業後、東京・築地にある寿司屋「青空三代目」で約1年間働きました。そこでは8ヶ月程見習いをした後、カウンターに立って寿司を提供していました。
現在は韓国に戻り、ソウル・江南(カンナム)にある「청담 여백(チョンダム ヨバエク)」という寿司屋で働いています。ここでは、2番手としてカウンターに立ったり、大将の横で手伝ったり、裏で後輩のスタッフに指導したりしています。

実践形式の授業でプロの技を間近で学ぶ。
——寿司職人を目指すにあたって、「飲食人大学」で学ぼうと思った理由を教えてください。
Instagramを見ていた際、寿司職人をしている韓国人の先輩たちの多くが飲食人大学出身だということを知り、私も飲食人大学で学んでみたいと思い、入学を決めました。
——実際に「飲食人大学」に入学してみて、いかがでしたか?
3ヶ月間というのは非常に短い期間ですが、先生は非常に豊富な経験を持っており、様々な知識を得ることができました。特に、食材の旬について、魚の扱い方、魚のシメ方など非常に勉強になりました。
また、実際にカウンターに立つような実践形式の授業で学べたことがよかったです。生徒にお客さん役をしてもらい、寿司を握るという授業があるのですが、カウンターでの仕事の流れなど、現場では誰も細かく教えてくれるわけではないので、そうした実務的なことが学べたことは貴重でした。こうした経験のおかげで職場では、先輩よりも先につけ場に立つこともできました。

韓国・地域に根ざした食材選びで「最高な状態」で提供。
——韓国でお仕事をされている中で、飲食人大学で学んだことを活かせている部分や、特に良かったと感じるところはありますか。
まず、「飲食人大学」でしっかりと基本を学んだことが非常に役立っています。
また、日本と韓国では流通している食材が違うので、日本の魚と韓国の魚を比べる経験は貴重でした。それによって、どうやってそれぞれの食材を最大限に活かすかを考えることができ、実践に活かせています。日本と韓国では魚の鮮度管理も大きく異なります。日本の場合、魚が市場に到着するまでのシステムが非常に良いです。魚が捕獲された後、すぐに神経締めをしてお店に届けられるので、新鮮なまま食べることができます。
一方、韓国ではこうした専門的な取り組みを行っている業者は少ないです。そこで、お客様に新鮮な魚を召し上がっていただくために、韓国ならではの産地に合ったものを選ぶようにしています。例えば、広島では穴子や牡蠣が有名なように、韓国にもその地域特有の魚や食材があります。私は実際にその魚を見に行き、その鮮度や品質を確認し、地元の漁師や仲買人と良好な関係を築いています。これにより、お店まで最高の状態で食材を届けることができます。
——日本人と韓国人のお寿司の好みやネタの好みについて、何か違いはありますか?
日本では、まぐろや光り物が人気です。日本では古くから魚を食べる習慣があり、特に刺身として楽しむ魚として定着しています。
一方、韓国では白身魚が刺身として好まれる傾向があります。韓国の食文化では、昔から白身魚を刺身として食べることが一般的で、まぐろなどの光り物はそれほどポピュラーではありません。
そもそも、韓国では富裕層や海に近い地域に住んでいる人以外は、あまり魚を食べる文化がありません。そういった背景もあり、韓国では魚の種類やその特性についての知識を持つ人が少ない傾向もあります。
——今の仕事のやりがいや、仕事において大切にされていることを教えてください。
私にとってのやりがいは、お客さんが「美味しい」と言ってくれることです。それを聞くと、疲れも吹き飛びます。自分が心を込めて作った料理にお客さんが満足してくれることが何よりも嬉しいです。
お客様に喜んでいただけるよう、常に最高の料理を提供することを心がけています。例えば仕入れた魚には個体差や季節の変化がありますので、塩締めの時間など、どういう風に調理をするかとかというところを魚ごとに変え、お客様に最適な形で提供する方法を考えています。
また、料理を提供する際には、料理のクオリティだけでなく、カウンターでお客様とのコミュニケーションや雰囲気作りにも気を配っています。
寿司が好きな人たちに自分の名前を広めたい。
——今後の夢や目標について教えてください。
寿司が好きな人たちに自分の名前を広めることです。自分のお店の名前を聞いて、「あぁ!あの有名な職人さんがいるお店だ!」と言ってもらえるように、精進しています。
具体的には、韓国で自分のお店を開くことを目指しています。特に江南地域に興味があります。江南地域は寿司好きな人が多く集まる地域であり、美味しい料理を求める人が多い場所です。そこで自分の寿司が評価され、有名になることが目標です。
——最後に、入学を検討されている読者にメッセージをお願いいたします。
先生方の指導は厳しいですが、本当に寿司が好きな方にとって、それは貴重な経験になると思います。寿司に関する深い知識や、魚の旬や扱い方などをしっかり学ぶことができるので、短い期間でも必ず役に立ちます。ぜひ一度経験してみてください。
そして、韓国の方で飲食人大学への入学を考えている皆さんへ。韓国で長年経験を積んでいる人でも、学校で学ぶ知識は重要だと思います。お客様への説明もより丁寧に行うことができるようになり、早くカウンターに立つことができると思います。また、給料も上がり、自分のお客さんも増やすことができます。ぜひ、学校に通って学びを深めてください。

店舗情報
【住所】88-19 cheongdamdong B1, Seoul, Korea 06014
【問合せ】+82-10-4669-3069
【営業日】火・水・木・金・土・日曜日
【営業時間】12:00〜22:00
【定休日】月曜日
【URL】https://www.instagram.com/yeobaek_cheongdam
