40歳で飲食業界に復帰。世界を目指す寿司職人、江田憲司さんの熱い思いとは。
江田憲司さん(こうだ・けんじ)
40歳から飲食業界に復帰し、寿司職人を目指した江田さん。現在、「海外で働く」という夢に向かって、日々奮闘しています。結婚や子育てを経験し、一度は飲食業を離れた江田さんが、なぜ飲食の世界に戻り、飲食人大学を選んだのか。その熱い想いと、実際の学び、そして今後の目標について伺いました。
《経歴》
2002年5月 高校(アメリカ) 卒業
2023年1月〜 アメリカ・アリゾナ「KYOTO Restaurant」にて勤務
2008年4月〜 福岡「寿し格」にて勤務
2010年5月〜 焼肉屋にて勤務
2013年11月〜 歯科技工所にて勤務
2024年6月 飲食人大学(東京校)寿司マイスター専科で修業
2024年7月〜 東京・乃木坂の高級寿司屋「江戸前 鮨 服部 六本木」にて勤務
再び飲食業へ、海外への挑戦を決意した理由とは。
——飲食人大学に「入学されるまでの経緯やご経歴」を教えてください。
20代の頃は主に飲食店、特に焼肉店や寿司店で働いていました。30歳を機に一度飲食業を離れ、40歳までサラリーマンとして勤務しました。結婚して子供ができたことをきっかけに、40歳で再び飲食業に戻り、今度は海外を目指すことにしました。
——海外を目指したきっかけは何ですか?
きっかけは、1歳4ヶ月になる娘の将来を考えたときに、日本以外でも働ける環境があることを教えたいと思ったからです。また、私自身が16歳から24歳まで留学しながらアメリカ現地の寿司店で働いた経験があり、日本人の寿司職人が海外で需要が高いことも実際に感じています。
——飲食業の中でも、なぜ「寿司」を選んだのですか?
海外ではありますが、もともと寿司屋で働いた経験はあったので、その経験を活かして働くのが一番の近道だと考えたからです。
そして、特に仕込みの部分や本物の江戸前寿司というのを学んでみたいという思いがあり、もう一度寿司を勉強しようと思いました。
毎日の反復練習がもたらした確かな技術の進化。
——寿司職人を目指すにあたって、「飲食人大学」で学ぼうと思った理由を教えてください。
他の有名な学校も調べましたが、費用が高かったり、反復練習の機会が少ない、仕入れる魚の数が少ないという情報など、学ぶ上で不安な点が多々ありました。
一方、飲食人大学については、口コミやインターネットで調べてみると、たくさんの種類・量の魚を捌く機会があり、3ヶ月間集中して学べることがわかりました。また、最短でコースを修了でき、仕込みなど自分の弱点を重点的に教えてもらえると知り、挑戦してみようと決めました。
——実際に「飲食人大学」に入学してみて、いかがでしたか?
この3ヶ月で、もともと全く捌けなかった魚もおろせるようになりましたし、捌けるようになりました。一番大きかったのは、卒業後に就職した職場で実際に魚を触らせてもらった時に、学校で習ったとおりにやれば、間違いなく捌けるようになっていたことです。これは大きな一歩だと感じています。
あとは経験を積みながらスピードを上げ、もう少ししっかりと魚をおろせる技術を身につければ、問題ないかなと感じています。
——授業の中で印象に残っていることを教えてください。
やはり1日で捌く魚の量が非常に多かったことが印象的でした。捌いた後に握って食べるという過程を毎日繰り返しましたが、最初の頃と最後ではクオリティに大きな差があることを実感しました。3ヶ月という短期間でも、寿司を握るスキルや魚を捌く技術が確実に身についたと感じています。
——調理経験者から全くの未経験者まで様々な生徒がクラスメイトとして一緒に学んだと思います。江田様のような経験者の立場からして、その点はいかがでしたか?
生徒の年齢層は20歳から60歳まで幅広く、私も40歳で少し遅いのかなと思っていましたが、意外にも40代が一番多かったです。寿司の経験者は私を含めて3人しかいませんでした。
未経験者の中には、包丁を握ったこともないような人もいましたが、3ヶ月後には魚を3枚におろせるようになっていて、これは学校の短期集中型の教育の成果だと強く感じました。
飲食人大学での学びが就職時の即戦力として評価された。
——飲食人大学「卒業後の進路」を教えてください。
卒業後、自身でいろいろな寿司店を探し、乃木坂にある寿司店に就職しました。この店舗は、近くにリッツカールトンやグランドハイアットなどの高級ホテルがあり、それらのホテルのコンシェルジュと提携して、インバウンドの外国人客を多く受け入れています。
私の海外経験と英語力を活かせる点が評価され、2024年7月から勤務することになりました。一人2万円からのコースを提供するような高級店なので、すぐにカウンターに立って接客することはできませんでしたが、現在は、ランチタイムにカウンターに立ち、お部屋のお客様向けに寿司を握ったり、巻物を巻いたりする機会をいただいています。
まだまだ未熟ですが、このチャンスをしっかり活かして学んでいきたいと思っています。学校で習った基礎はもちろんですが、お店に入ってからは店独自のやり方や一品料理、握り方などを新たに学ぶ必要があり、それも新しい学びだと感じています。
ここで2〜3年働いてスキルを身につけ、一人で何でもできるようになれば、最終的には海外に出たいと考えています。
——飲食人大学の学びの中で、今の仕事に活かせていることはありますか。
特に仕込みの部分で役立っています。人手不足のため、幅広く仕事を任されるのですが、飲食人大学で苦手だった赤貝や牡蠣なども毎日触れることで克服できました。
また、飲食人大学で学んだ寿司の専門用語が現場でもよく使われており、新しく入ったアルバイトの方々が理解しにくい言葉でも、自分は理解できるという点が強みになっていると感じます。
——今の仕事のやりがいや、仕事において大切にされていることを教えてください。
寿司を作ることはもちろんですが、人と接すること、話すことが好きなので、そこにやりがいを感じています。海外に行く前に英語力も伸ばしていきたいと思っているのですが、現在の職場ではほぼ毎日外国人のお客様が来店されるので、英語を使う機会が多く、それがとてもありがたいです。
また、まだ未熟な中でも寿司を握らせていただいていることに、お店には非常に感謝しています。
——海外の方と接する際に気をつけていることや、大切にされていることはありますか?
海外の方は、寿司について知っているようで実は知らないことが多いので、単に料理を出すだけでなく、仕込みの過程や食べ方などを丁寧に説明するようにしています。作る過程を説明すると、お客様がとても喜んでくださるんです。
日本人のお客様の場合は細かく説明しなくても大丈夫なことが多いのですが、外国人の方、特に初めて来店された方には、ただ料理を出すだけでなく、様々な説明をしたり会話を交わしたりすることで、より満足してお帰りいただけるよう心がけています。これは大切にしていることの一つです。
——飲食人大学で基礎を学んだ江田様に対して、職場の方からの反応はいかがでしたか?
大将と面接をした時、「もちろん熟練の職人さんと比べるとスキルや職歴はまだ及ばないですが、全くの素人を一から教えるよりも、そうやって学校で寿司の基礎を学び、魚を捌いた経験があるのであれば、即戦力として活躍できる考えています」と言っていただき、とてもありがたかったです。
また、同じ時期に入社した未経験の方と比較すると、給与にも差があったことから、飲食人大学で学んだことは大きなメリットだったと感じています。
海外での挑戦に向けて、技術を磨き視野を広げる。
——今後の夢や目標について教えてください。
最終的な目標は海外で挑戦することです。まずは日本で技術を磨き、国籍問わず対応できるレベルに達したら、海外の寿司屋への就職を考えています。元々アメリカに住んでいた経験があるので、アメリカも捨て難いですが、物価や治安の問題や、子どもの教育や自身のスキルアップというところで、マレーシアなど東南アジアで検討中です。
——最後に、入学を検討されている読者にメッセージをお願いいたします。
私もそうでしたが、年齢のこともありましたし、入学前は不安ばかりでした。とりあえず入ってみようかという気持ちで入学しましたが、実際に入ってみると、様々な年齢層の方がいて、みんな同じように悩みながらも助け合っていました。先生や近くの人に聞いたりしながら、授業に取り組め、とてもやりやすい環境でした。
一般的に未経験でお店に入ると、何もさせてもらえないことが多いと思います。いきなりお店で修行するよりも、まずは飲食人大学に入ることをおすすめします。
飲食人大学では、魚を扱ったり包丁を握ったりするところから始めて、3か月間集中して学べるのが大きな魅力です。不安はあると思いますが、入ってみればその不安も1か月もしないうちに消えると思います。今、検討中の方がいれば、思い切って入学してみるのも良い選択だと思います。
店舗情報
【店名】江戸前 鮨 服部 六本木(えどまえ すし はっとり ろっぽんぎ)
【住所】東京都港区六本木7-4-12 ジャスミン六本木ビル 1F
【問合せ】03-5474-2026
【営業日】月・火・水・木・金・土曜日
【ランチ】11:30〜【ディナー】17:30〜
【定休日】日曜日・年末年始・夏季休暇有り