鉄板焼きの匠がなぜ寿司を? 料理への探究心と情熱が生んだ福本勝則さんの新たな挑戦とは。
福本勝則さん(ふくもと・かつのり)
鉄板焼き屋「鉄板ふくもと」を経営する福本勝則さん。今まで様々なジャンルの料理に触れてきましたが、魚の捌き方や和食について基礎から学び直したいという思いで入学を決意しました。現在はその経験を活かして和牛の寿司など独創的な料理を生み出し、地元・鳥取の食材の魅力を引き出しています。
《経歴》
2002年3月 国立大学 卒業
2002年4月〜 イタリアンレストランにて勤務
2004年10月〜 和食屋、焼肉屋を経験後、鉄板焼き「都」にて勤務
2010年4月〜 鳥取・米子「鉄板ふくもと」開業
2024年6月 飲食人大学(大阪校)寿司マイスター専科で修業
魚の捌き方や和食について、基礎から学び直したい。
——飲食人大学に「入学されるまでのご経歴」を教えてください。
大学を卒業後、飲食業界に入り、島根県のイタリアンレストランで約3年間働きました。その後、広島県福山市に移り、別の飲食業の会社に就職しました。和食屋や焼肉屋などで働いた後、最終的には広島県福山市にある鉄板焼きのお店「都」に勤務し、そこで6年間経験を積みました。そして、30歳ごろに鉄板焼き屋「鉄板ふくもと」を開業しました。
——様々なジャンルの料理に触れてこられたと思いますが、今回「寿司」について学ぼうと思ったきっかけを教えてください。
お寿司を握ることに興味があったのはもちろんですが、淡路島校ではたくさんの魚を捌く経験ができることや、和食についても学べる点に魅力を感じ、入学を決めました。
現在の店舗でも魚を多く扱っていますが、これまで基礎をしっかり学ぶ機会がなかったため、もう一度基礎から学び直したいという思いがありました。特に、寿司職人としての基礎を3か月という短期間で身につけられるカリキュラムに強く惹かれ、素人でも形になるまで導いてくれるそのプロセスを体験してみたいと思い、応募しました。
経営者目線で学んだ、食材を大切にする心と人材育成のヒント。
——寿司職人を目指すにあたって、「飲食人大学」で学ぼうと思った理由を教えてください。
私の場合はお店を休んで通う必要があったため、飲食人大学のカリキュラムが3ヶ月という短期間で集中して学べる点に魅力を感じました。また、いろいろな動画を見た中で、淡路島校は少人数制で、1クラス6人ほど、そして寮があるという環境が自分に合っていると感じ、淡路島校を選びました。
——実際に「飲食人大学」に入学してみて、いかがでしたか?
小川先生をはじめ、包丁の研ぎ方といった基本的なところから丁寧に教えていただき、とても勉強になりました。また、私自身は鳥取出身で日本海の魚には馴染みがありますが、瀬戸内の魚などこれまで知らなかった魚を調理する経験も得られました。お寿司に関しては、最初は難しいイメージがありましたが、実際にやってみると、ある程度形にできるようになり、自信につながりました。全体を通して、とても良い経験になったと感じています。
————授業の中で、特に印象に残っていることや講師の言葉があれば教えてください。
私は現在、会社やお店を経営しているので、授業中も常に経営者目線で見ていました。その中で特に印象的だったのは、食材を無駄にしない考え方や、淡路島校ならではの多彩な講師陣です。旅館の料理長やマグロの卸業者など、普段は出会えない方々から貴重なお話を聞けたことは大きな収穫でした。また、飲食業未経験の方がほとんどだったため、初めて業界に飛び込む人の心構えや動きなどを間近で見ることができ、今後の人材育成に役立つと感じました。
授業では厳しい指導やスピードを求められる場面もありましたが、それ以外では市場見学やホテルで実際にお客様に寿司を握る体験など、実践的な活動が多かったです。また、原価計算や店舗管理についても教えていただき、経営者として学びが多い充実した内容でした。
——福本さんは料理人としての経験がある中で、飲食人大学に入学されたと思いますが、飲食人大学の未経験者向けのカリキュラムについて、どのように感じましたか?
最初に小川先生から「淡路島校は、大阪校や東京校のような高級料亭での経験がある先生が教えるわけではないので、もしより高度な技術を学びたければ、大阪や東京で学んでください」と言われました。それを理解した上で、基礎をしっかり学び直すために淡路島校を選んだので、飲食人大学のカリキュラムに物足りなさを感じたりすることはなかったです。
一番苦労したのは、提供実習の時です。自分でコースを組み立て、他の生徒と協力して料理を提供するので、自分の思う通りに料理を作ってもらえるよう他のスタッフに伝えなければならない点が難しかったです。他の皆さんもこれに苦労していました。
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——飲食人大学「卒業後の進路」を教えてください。
卒業後は鳥取に帰ってきて、現在の「鉄板ふくもと」を再開しました。私は株式会社 K・factoryという会社を経営しており、役職としては代表取締役兼料理長になります。
——飲食人大学の学びの中で、今の仕事に活かせていることはありますか。
最近、社員やスタッフを増やしているので、飲食人大学で学んだ段階的な指導方法が社員育成の面で非常に役立っています。
——経営されている「鉄板ふくもと」では、お寿司やお魚料理も取り入れていますか?
そうですね。鉄板焼きのコースの中に和牛のお寿司を取り入れたり、今まで使わなかった魚も積極的に使うようになっています。
——今の仕事のやりがいや、仕事において大切にされていることを教えてください。
私の店は鳥取県にあり、地元の食材を活かした料理を提供しています。特に地元の和牛ステーキを中心に出していますが、飲食人大学で学んだ「無駄を出さない」「食材を使い切る」という考え方を大切にしています。ゴミになるようなものでも商品に変えるように気をつけています。
また、お寿司屋さんに行くことが多いのですが、仕込みや工程、しつらえ、所作など、細部にこだわりがあることに感銘を受けます。私はカウンターで仕事をしているので、滑らかな動きや、お客様を不安にさせないような振る舞いや会話に特に気をつけています。
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——今後の夢や目標について教えてください。
当初の目標は自分のお店を持ち、長く続けることだったので、ほぼその夢は実現しています。今後は、地元の食材を使い、県内外のお客様に足を運んでもらえるようなお店を継続していきたいと思っています。
——最後に、入学を検討されている読者にメッセージをお願いいたします。
私は別の料理のジャンルからのチャレンジでしたが、料理未経験者向けのカリキュラムのため、最初は知っているような基本的なことを学んだり、同じことを繰り返すこともありました。しかし、寿司屋は日本人に非常に人気があり、地域ごとに特色を出せるため、寿司職人は魅力的な仕事だと考えています。洋食など別のジャンルから挑戦する方にとっては、3ヶ月という短期集中のコースはちょうど良い期間かなと思います。卒業生の活躍を見ていると、海外に挑戦する人も多く、日本の食文化である寿司や和食は世界的に人気が高まっているため、寿司職人の可能性は無限大です。
飲食業に初めて挑戦する方には、最初は大変かもしれませんが、失敗を恐れずにチャレンジすることが大切です。厳しい指導もあるかもしれませんが、3ヶ月でお客様に提供できるレベルまで達することは容易ではありません。失敗を恐れすぎず、積極的にチャレンジすることが大切だと思います。3ヶ月という短い期間で技術を習得することはもちろんですが、飲食業で働く上で必要な精神的な強さを養うことができる貴重な機会でもあると思います。
先生方の丁寧な指導のもと、魚の捌き方やネタの切り方、寿司の握り方など、一連の作業を自分で行えるようになることは、大きな自信につながります。卒業後も、この経験は必ず財産となると思います。
専門学校に通ったり、未経験で飲食店に入社したりするよりも、飲食人大学のように体系的に学べる環境は、スムーズにキャリアをスタートさせることができると思います。
店舗情報
【店名】鉄板ふくもと(てっぱんふくもと)
【住所】鳥取県米子市米原1454-9
【問合せ】0859-30-4964
【営業日】火・水・木・日曜日
18:00〜22:00
金・土曜日
11:30〜14:00/18:00〜22:00
【定休日】月曜日(祝日は営業する場合有り)
【公式HP】https://teppan-fukumoto.com/