左利きは寿司職人に向かない?世界一の職人が出した答え
「寿司職人になりたい。でも自分は左利きだから、たぶん無理だ」
そう考えて、一歩を踏み出せないまま何年も過ぎてしまった方がいらっしゃいます。実際、和食の道具も、厨房の配置も、お客様への出し方も、ほとんどが右利きを前提に作られてきました。だから不安になるのは当然です。
けれども、その不安には、はっきりとした答えがあります。世界で最も有名な寿司職人が、左利きでした。
東京・銀座の「すきやばし次郎」の小野二郎さんです。ミシュランの三つ星を長年守り続け、海外のドキュメンタリー映画にもなった、あの職人です。
この記事では、左利きの方が寿司職人を目指すときに実際にぶつかる壁と、その越え方をお伝えします。道具のこと、厨房の配置のこと、そして業界がこの50年でどう変わったのかまで、順番に見ていきましょう。読み終わるころには、利き手を理由に諦める必要がないことが分かっていただけるはずです。
結論:左利きでも寿司職人になれる。ただし準備するものが1つある
先に結論をお伝えします。
左利きであることは、寿司職人になれない理由にはなりません。実際に左利きの職人は各地で店を構えていますし、養成校にも左利きの受講生が通っています。
ただし、右利きの方には必要のない準備が1つだけあります。左利き用の包丁を用意するかどうかを、最初に決めておくことです。
理由は後で詳しくお話ししますが、和包丁は右利き用と左利き用で刃の付け方がまったく逆になっています。ここだけは気合いや慣れでは埋められません。逆に言えば、ここさえ押さえておけば、あとは右利きの方と同じ道を歩けます。
準備するものが分かっていれば、不安は計画に変わります。順番に見ていきましょう。
世界一の寿司職人、小野二郎さんは左利きだった
まず、この事実から確認させてください。
小野二郎さんは生まれつきの左利きです。本人が書籍のなかで、はっきりと語っています。
13歳で右手に持ち替えた。その理由は技術ではなくお金だった
小野さんが料理の道に入り、初めて包丁を持ったとき、左利き用の包丁をあつらえてもらったそうです。ところが値段を見て考えを変えました。
当時、右利き用の包丁が1円50銭だったのに対し、左利き用は3円。ちょうど倍の値段でした。小野さんはこれを「ばかばかしい」と感じ、すぐに右手に持ち替えたと述べています。そして13歳のときに、右手で包丁を使えるよう体に覚え込ませました。箸のほうは、それより早く小学1年から2年のあいだに右手へ直しています。
ここで注目していただきたいのは、持ち替えた理由です。「左利きでは上手くならないから」ではなく、「道具が高いから」でした。技術の問題ではなく、お金の問題だったのです。
そして現代では、この理由はかなり小さくなりました。左利き用の和包丁は今もやや高価です。ただし、そもそも選択肢として普通に存在しています。
それでも、握りの感覚は左手のままだった
さらに興味深いのは、この先です。
包丁こそ右手に持ち替えたものの、小野さんの寿司を握る感覚は左手に残り続けました。別の書籍のなかで、小野さんは握りの技術についてこう語っています。「とくに利き腕の左手の中指、薬指、小指の三本が大事です」
シャリの温度、空気の含ませ方、力の加減。寿司の出来を決めるこれらの繊細な部分を、生まれ持った左手の感覚が支えていたわけです。
つまり小野さんは、右利きに矯正されたのではなく、右手と左手を役割で使い分けていたということになります。左利きであることは失われていませんでした。
「二郎握り」は、左利きと不器用さから生まれた
小野さんの代名詞に「二郎握り」と呼ばれる独特の握り方があります。この握り方が生まれた背景も、実は利き手と関係しています。
小野さんは、自分でも認めるほど不器用でした。そのため、伝統的な「本手返し」という握り方がどうしても上手くできなかったそうです。そこで昼休みに、おからを使って何度も何度も練習を重ねました。その積み重ねの果てに生まれたのが、あの独自の握り方です。
世界一と呼ばれる技術は、ハンデを埋めようとした反復から生まれました。ここは、いま不安を抱えている方にこそ知っていただきたいところです。
握りの技術がどう組み立てられているかについては、【寿司の握り方のコツ】センス不要!「15gと36℃」の法則で誰でもプロ級になれるでも詳しく解説しています。
なぜ和包丁は左利きに厳しいのか
ここから、左利きの方が実際にぶつかる壁の話に移ります。最初にお伝えした「準備するものが1つある」の中身です。
和包丁は「片刃」という構造をしている
洋包丁と和包丁の一番大きな違いは、刃の付け方にあります。
洋包丁は両側から研いだ「両刃」です。左右対称なので、どちらの手で持っても使い心地は変わりません。
一方、柳刃や出刃といった和包丁は「片刃」です。片側だけに刃が付いていて、反対側は「裏すき」と呼ばれるわずかなくぼみになっています。この左右非対称の構造が、切れ味と食材の離れやすさを生み出しています。
右利きの方が右利き用の和包丁を使うと、切り離された刺身が自然に右へ倒れ、裏すきのおかげで身が刃に張り付きません。これは偶然ではなく、そうなるように設計されています。
右利き用を左手で持つと、すべてが逆に働く
問題は、この右利き用の包丁を左手で持ったときです。
計算されていた力の向きが、そっくり逆転します。刃が食材の左側へ食い込みすぎ、裏すきが反対を向くので身が刃から離れなくなります。結果として、刺身の断面が歪みます。繊維をすっと断ち切る「引き切り」も難しくなります。骨の硬い魚を扱う出刃包丁の場合は、刃が思わぬ方向へ滑って怪我につながることもあります。
これは慣れや根性で解決できる問題ではありません。物理的に逆だからです。だからこそ、左利きの方には左利き用の和包丁が必要になります。
包丁そのものの手入れについては、【包丁研ぎの正解】感覚を捨てれば、誰でも「プロの切れ味」が出せるもあわせてご覧ください。研ぎ方が分かると、道具への不安はぐっと減ります。
左利き用の和包丁は、ちゃんと売っている
では左利き用は手に入るのでしょうか。答えは「手に入ります」です。
現在は、老舗の刃物専門店の多くが左利き用を正規の商品として扱っています。プロの職人に一定数の左利きがいることが知られるようになり、扱う店が増えてきました。
ただし、右利き用と同じ条件で買えるわけではありません。押さえておきたい違いを整理します。
| 項目 | 左利き用和包丁の実際 |
|---|---|
| 取り扱い | 老舗の刃物専門店では正規の商品として扱っている。一般の量販店ではほぼ扱いがない |
| 価格 | 右利き用のおよそ1.5倍が目安。鍛冶屋への特注だと3倍から5倍になることもある |
| 納期 | 在庫を持たない店が多く、基本は受注生産。数週間から、鋼材によっては半年以上かかることもある |
| 品質 | 右利き用に劣るわけではない。プロが現場で使える最高級品も選べる |
価格が上がる理由も、納期がかかる理由も同じです。刃物の職人は日ごろ右利き用の型で作っているため、刃付けが逆になると手が慣れておらず、通常の2倍から3倍の時間がかかるからです。手を抜いているのではなく、手間がかかっているということになります。
ここから分かることは、はっきりしています。左利きの方は、修業を始める最初の段階で、道具にお金と時間を余分にかける必要があります。逆に言えば、余分に必要なのはそこだけです。事前に分かっていれば、計画に組み込めます。
つけ場の配置も右利き前提。ただし独立すれば逆にできる
道具の次は、厨房の話です。
寿司屋の作業台は、右利き用に組まれている
寿司屋の「つけ場」と呼ばれる調理場は、標準的な配置がおおよそ決まっています。まな板を中央に置き、右側にシャリのおひつ、左側にネタケースを並べる形です。
右利きの職人であれば、左手の指の付け根でネタを支え、右手でシャリをすくい、右手の指でわさびを塗る。この一連の動きが途切れずにつながります。無駄がないように配置されているわけです。
左利きの方がこの厨房に入ると、動きがぶつかります。ネタケースの扉が開く向きが逆になりますし、シャリの位置も反対です。さらに狭い厨房で右利きの職人と横に並ぶと、お互いの利き腕が真ん中で交差して肘が当たります。
修業中は、この不便さと付き合うことになります。ここは正直にお伝えしておきます。
自分の店を持てば、すべて鏡合わせにできる
ただし、この不便さには終わりがあります。
自分の店を構えたときには、厨房の配置を自由に決められるからです。まな板の位置も、ネタケースの向きも、動線も、すべて左利きに合わせて組み直せます。
実例があります。小野二郎さんの次男である隆士さんが六本木に構えた店は、銀座の本店とちょうど鏡合わせの構造になっています。親子で利き手が違うため、店の設計そのものを左右反転させたわけです。
ここから分かるのは、つけ場は使う人の利き手に合わせて設計されるものだということです。標準の配置があるだけで、動かせないわけではありません。修業時代の不便さは一時的なもので、職人としてのキャリアを止めるものではありません。
業界はこの50年で大きく変わった
もう1つ、知っておいていただきたいことがあります。左利きを取り巻く空気が、昔とはまったく違うということです。
50年前は「認めてもらえなかった」
吉祥寺で50年以上カウンターに立ち続けている左利きの職人が、当時をこう振り返っています。「日本料理で左利きというのは、50年前は全く認めてもらえませんでした。だれもが右利きの世界です」
この方は、右利き用の道具と厨房のなかで生き残るために、人一倍速く、人一倍美しく仕込みをこなして周囲を黙らせるしかなかったそうです。その無理は生活にも及びました。右手のことを左手と考える癖がつき、運転中に助手席から「そこ左」と言われると、とっさに右へ曲がってしまうほどだったといいます。
砥石の手入れも壮絶でした。左利き用の道具が整っていなかった時代、誰もいない早朝の道路の溝を使って、100メートルも砥石を擦り付けて平らにしていたそうです。
いまは「道具を人に合わせる」時代になった
この状況は、大きく変わりました。
利き手は3歳から4歳のころに決まり、無理に矯正すると心理面や神経面に負担がかかると知られるようになったからです。この理解が広まり、料理の世界の考え方も動きました。
老舗の包丁メーカーである堺一文字光秀は、かつて左利きが右利きに矯正されてきた歴史を振り返ったうえで、現在の姿勢をこう表明しています。「優れた繊細な感覚を持つ利き手を矯正するのではなく、最大限に発揮することで、さらに食文化を発展させてほしい」
人を古い慣習に合わせる時代から、道具を人に合わせる時代へ。業界全体がこの方向に動きました。いま寿司職人を目指す方が向き合うのは、50年前とは別の世界です。
飲食人大学では、左利きの方はどう学んでいるか
では、実際の養成校ではどうなっているのでしょうか。飲食人大学の現場をお伝えします。
飲食人大学には、左利きの方も受講されています。利き手が入学の可否に関わることはありません。
包丁については、左利き用を手配できます。入学後に左利き用の出刃や柳刃を追加で購入された方もいらっしゃいます。
そして、ここが他の学校と少し違うところなのですが、右利き用で学ぶという選び方もできます。左利きの方が、あえて右利き用の包丁セットを選ばれることもあります。将来どこで働くか、どんな厨房に立つかによって、どちらが良いかは変わるからです。
つまり飲食人大学は、右利きへの矯正を求めることも、左利きのまま放っておくこともしません。本人が選べるという形をとっています。判断に迷ったときは、入学前の面談で講師に相談していただけます。
授業そのものは、修学期間が3ヶ月、実技は60日で420時間です。週6日、月曜から土曜まで、朝9時から16時まで手を動かし続けます。この期間に40種類以上の魚を捌きます。左利きであっても、この反復の量は変わりません。
卒業生だけで切り盛りする大阪の寿司店「鮨千陽」は、ミシュランガイドのビブグルマンに5年連続で選ばれました(2019年時点)。未経験から始めた人たちが、短い期間で現場に立てるようになっています。
「向かない」と言われた属性を越えた卒業生
利き手とは別の話になりますが、参考になる卒業生をご紹介します。

松宮華子さんは、整骨院で受付と施術を担当したあと、寿司職人の道を選ばれました。飲食人大学の大阪校で学んだあと、大阪・福島の「鮨千陽」で勤務し、シンガポール店の立ち上げにも関わり、オーストラリアの寿司店を経て、現在は奈良で自分の店「ならまち鮨はなこ」を営んでいらっしゃいます。
寿司の世界では長らく「女性は向かない」と言われてきました。その点について尋ねられた松宮さんは、こう答えています。「私は特にそういった苦労は感じませんでした」
世間が語る「向かない」と、現場で実際に起きていることは、しばしば食い違います。左利きについても同じことが言えるのではないでしょうか。
左利きは、お客様の前では武器になる
ここまで、左利きが不利になる場面をお伝えしてきました。最後に、逆の話をさせてください。
お客様の10人に1人ほどが左利き
日本で左利きの人がどれくらいいるのか、調査ごとに数字を並べてみます。
| 調査 | 左利きの割合 |
|---|---|
| 三大都市圏の20〜69歳・1,500名を対象にした生活調査 | 7.7% |
| 国内の各種インターネット調査 | 9.5%(両利きが2.1%) |
| 医学・人類学の研究で言われている範囲 | 8%から15%(およそ10%) |
調査の方法によって幅はありますが、おおむね8パーセントから10パーセントの範囲に収まっています。
ここで視点を変えてみてください。この数字は、あなたが寿司を握る相手の側の話でもあります。カウンターに座るお客様の10人に1人ほどが左利きということです。
小野二郎さんは、左利きのお客様に出し方を変えていた
小野二郎さんは、最初の1貫を出したときに、お客様が左利きか右利きか、手でつまむか箸を使うかを見抜いていたそうです。
そして左利きで手でつまむお客様には、2貫目から寿司を「ノ」の字のように斜めに置いていました。左手で取りやすい角度に変えていたわけです。この配慮は、映画のなかにも記録されています。
なぜ小野さんがこの配慮に気づけたのか。自分が左利きだったからです。右利きの職人であれば、そもそも不便に気づく機会がありません。
左利きとして過ごしてきた時間は、右利きの職人には持てない視点を育てます。10人に1人のお客様が「この店は自分のことを分かってくれている」と感じる瞬間を作れるとしたら、それは技術と同じくらい強い武器になります。
左利き用の包丁は、何をそろえればいいのか
「左利き用が必要なのは分かった。では何本買えばいいのか」と思われたはずです。ここを整理しておきます。
和包丁は用途ごとに形が違います。寿司職人が日常的に使うのは、主に次の3本です。
- 柳刃(やなぎば):刺身を引くための細長い包丁。寿司職人が最もよく手にする1本です
- 出刃(でば):魚をおろすための厚みのある包丁。骨を断つ場面で使います
- 薄刃(うすば):野菜を切るための包丁。かつらむきなどに使います
この3本はいずれも片刃です。したがって、左利きの方が左手で使うなら、いずれも左利き用が必要になります。
とはいえ、最初から3本すべてを左利き用でそろえる必要があるかというと、そうとは限りません。まず柳刃と出刃の2本から始めて、必要に応じて足していくという進め方をされる方もいらっしゃいます。授業で使う頻度が高いのはこの2本だからです。
納期の話も、ここで具体的に考えておく価値があります。受注生産で数週間から半年かかることを踏まえると、入学が決まった時点で発注しておくのが安全です。授業が始まってから注文すると、届くまで借りた包丁で過ごすことになりかねません。
飲食人大学では入学時に包丁セットを購入していただけますが、左利き用の出刃や柳刃を追加でお求めになった方もいらっしゃいます。何をどう組み合わせるかは、入学前の面談でご相談いただけます。
修業中の厨房で、左利きの方がしている工夫
自分の店を持つまでのあいだ、右利き用の厨房でどう働くか。ここは具体策があります。
1つ目は、立ち位置の選び方です。複数人で横に並ぶとき、左利きの方が列の左端に立てば、隣の人と利き腕が交差しません。逆に右端や中央に入ると肘がぶつかります。厨房に入ったら、まず自分がどこに立てば周りとぶつからないかを確認しておくと、無用な衝突を避けられます。
2つ目は、自分の作業スペースだけを反転させることです。厨房全体は動かせなくても、自分のまな板の周りは調整できます。シャリを入れた器を左に、ネタを右に置き直すだけで、動きの流れが自然になります。ここは先輩に一言断ってから変えるのが筋です。
3つ目は、盛り付けの向きを意識することです。刺身を盛るとき、切ったものが倒れる向きが右利きの職人と逆になります。そのまま並べると、仕上がりが反対を向いてしまいます。最初は意識して並べ直す必要がありますが、これは慣れで解決する部分です。
このあたりは、実際にやってみないと分かりません。だからこそ、授業のなかで毎日手を動かす時間が効いてきます。
海外を目指すなら、利き手はさらに関係が薄くなる
もう1つ、視野を広げておきたい話があります。
寿司職人として海外で働くことを考えている方にとって、利き手の問題はさらに小さくなります。理由は2つあります。
1つ目は、道具の前提が違うことです。海外の厨房では洋包丁が併用されることが多く、洋包丁は両刃なので利き手を選びません。和包丁を使う場面でも、日本ほど「右利きが当たり前」という空気が強くありません。
2つ目は、評価されるものが技術に寄っていることです。海外で日本人の寿司職人が求められるのは、江戸前の技術そのものです。どちらの手で握るかを気にされる場面は、日本の伝統的な店に比べるとかなり少なくなります。
飲食人大学には海外就職コースがあり、語学のサポートや海外専属のキャリアコーチによるビザ取得の支援まで用意されています。台北とバンコクにも拠点があります。日本の厨房の慣習に窮屈さを感じるのであれば、最初から海外を見据えるという選び方もできます。
3ヶ月で実際に何をするのか
「3ヶ月で本当に身につくのか」という不安も、当然あると思います。中身をお伝えします。
1ヶ月目は基礎です。包丁の研ぎ方から始まります。米の種類と見分け方、酢の種類と使い分けを覚え、アジや海老を使って魚の構造と味の違いを確かめていきます。ここで道具と食材の理屈を頭に入れます。
2ヶ月目は応用です。ヒラメ、カツオ、タコ、サバ、アワビ、スズキなど、扱う魚の種類が一気に増えます。押し寿司や棒寿司といった形も覚えます。魚市場へ行って、自分で仕入れる実習もあります。目利きはここで鍛えられます。
3ヶ月目は実践です。市場で鮮魚を箱買いし、買ってきた魚を全部さばきます。コースの組み方やメニューの構成も学びます。そして実際にお客様をお招きして、対面で提供する授業があります。店の立ち上げや流通の話まで入ります。
この420時間は、すべて実技に使われます。掃除や雑用で時間が削られることがありません。伝統的な修業で「一人前まで10年」と言われてきた理由の1つは、新人が包丁や魚に触れる時間そのものが短かったからです。触れる時間を凝縮すれば、必要な年数は変わります。
利き手が右でも左でも、この420時間の中身は同じです。
よくある質問
Q. 左利きだと寿司職人の学校の入学を断られることはありますか
いいえ。利き手が入学の可否に関わることはありません。飲食人大学では、目的意識が合っているかどうかを面談で確認しています。利き手は判断の材料に入っていません。
Q. 寿司職人の学校で使う左利き用の包丁は自分で用意する必要がありますか
手配できます。入学後に左利き用の出刃や柳刃を追加で購入された方もいらっしゃいます。判断に迷う場合は、入学前の面談で相談していただくのが確実です。
Q. 寿司職人になるなら左利きを右利きに直したほうが就職に有利ですか
一概には言えません。既存の厨房に入る場合、右利き用の配置に合わせられるほうが動きやすい場面はあります。一方で、自分の店を持つときには関係がなくなります。将来どう働きたいかによって答えが変わるため、入学前に相談して決めることをおすすめします。飲食人大学ではどちらも選べます。
Q. 左利きだと寿司を握る技術の習得が遅れませんか
道具さえ利き手に合っていれば、習得の速度に差が出る理由はありません。授業は3ヶ月、実技60日、420時間の反復です。この時間の中身は、利き手にかかわらず同じです。
適性そのものについては、寿司職人が向いている人っている?特徴やなり方、意識すべきポイントももあわせてご覧ください。
Q. 寿司職人の学校の学費はいくらかかりますか
寿司マイスター専科の授業料は968,000円で、入学金は0円です(税込)。授業料968,000円を実技の420時間で割ると、1時間あたりおよそ2,305円です。
Q. 左利き用の和包丁は右利き用より切れ味が落ちますか
いいえ。刃付けの向きが違うだけで、鋼材も作り方も同じです。プロが現場で使う最高級品も左利き用で選べます。価格が上がるのは品質の差ではなく、作る手間の差です。
Q. 寿司職人の学校に入る前に左利き用の包丁を買っておくべきですか
受注生産で納期がかかるため、入学が決まった時点で相談していただくのが安全です。授業開始後に注文すると、届くまで待つことになります。飲食人大学では包丁の手配についてもご案内していますので、面談の際にお申し出ください。
Q. 左利きの寿司職人は海外就職で不利になりますか
なりにくいと考えられます。海外の厨房では両刃の洋包丁が併用されることが多く、また評価の中心が技術そのものに置かれるためです。飲食人大学の海外就職コースでは、語学のサポートとビザ取得の支援を受けられます。
まとめ:利き手を理由に諦める必要はありません
最後に、この記事でお伝えしたことを振り返ります。
世界一と呼ばれた小野二郎さんは左利きでした。包丁こそ右手に持ち替えましたが、その理由は道具の値段であり、技術の問題ではありませんでした。そして握りの感覚は生涯、左手のままでした。独自の「二郎握り」も、左利きと不器用さを乗り越えようとした反復から生まれています。
左利きの方に必要な準備は1つです。左利き用の和包丁を用意するかどうかを、最初に決めておくこと。価格は右利き用のおよそ1.5倍、納期は数週間から半年ほどを見ておけば足ります。分かっていれば計画に組み込めます。
厨房の配置は右利き前提ですが、自分の店を持てば鏡合わせに設計できます。業界の空気も、この50年で「人を慣習に合わせる」から「道具を人に合わせる」へ変わりました。
そして、お客様の10人に1人は左利きです。その方たちの不便に気づけるのは、同じ立場を知っている人だけです。
飲食人大学では、左利きの方も学んでいます。左利き用の包丁も手配できますし、右利き用で学ぶ選び方もできます。3ヶ月、実技60日、420時間。この期間に40種類以上の魚と向き合い、現場で通用する技術を身につけていただきます。
利き手は、あなたが寿司職人になれるかどうかを決めるものではありません。決めるのは、始めるかどうかです。
もう1つ添えておきます。利き手はこの先も変わりませんが、覚えた技術のほうは自分に残ります。握り方も、研ぎ方も、魚の見方も、店を移ったからといって置いてくるものではありません。左右どちらの手で覚えても、そこは変わりません。
まずは資料をご請求のうえ、授業の中身と費用をご確認ください。入学前の面談では、包丁をどちらにするかも含めてご相談いただけます。
