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母のお店を救いたい。お笑い芸人として活動しながら、寿司技術を身につけ、笑顔と美味しさを届ける中川秀人さんの生きがいとは。

中川秀人さん(なかがわ・ひでと)

母の経営するおばんざい居酒屋「小よし」がコロナ禍で苦境に陥り、母の店を救う決意をした中川秀人さん。お笑い芸人として活動しながら、飲食人大学で寿司技術を学び、現在、お店では職人として寿司コースを提供し、お客様に笑顔を届ける彼の挑戦に迫りました。

《経歴》
2005年 整骨院に勤務
2008年 吉本興業に所属
2020年 母の経営するおばんざい居酒屋「小よし」を手伝い始める
2023年3月 飲食人大学(大阪校)寿司マイスター専科 卒業
2023年8月〜 「小よし」にて寿司コース提供を本格化

コロナ禍で苦境に陥った母のおばんざい居酒屋を救う決意。

——飲食人大学に「入学されるまでの経緯やご経歴」を教えてください。

高校を卒業後、整骨院や整体院にて整体師として働いていました。その後、現在に至るまで15年程吉本興業に所属し、現在もお笑い芸人として活動しています。

——お笑い芸人を続けながら、飲食人大学に通われたということですか。

そうです。私の母がおばんざい居酒屋を経営していましたが、コロナ禍で経営が苦しくなりました。そんなとき、私のとある先輩から「お前のお母さんの店をやらしてくれ」と提案がありました。ただ、私は納得することができず、「それなら自分が手伝おう」と決意しました。こうして、芸人としての活動と並行しながら母のお店を手伝うことになったのが始まりでした。

——お母様のお店を手伝いながら、調理技術を習得するために飲食人大学に入ったということですか。

そうですね。私はこれまで整体師と芸人としての経験しかなく、包丁の使い方も料理についても全くわからない状態で手伝いをしていました。母が50代のときに病気で倒れ、私が料理をする必要が生じた時があり、最初は知り合いからレシピをもらったり、食材を分けてもらったりして、何とかやりくりしていましたが、お店がどんどん閑散としていく状況に直面しました。料理の技術を磨く必要性を感じたため、飲食人大学に通い、料理の勉強を始めました。

母の病状悪化をきっかけに、本格的な鮨店へ転換。

——飲食人大学「卒業後の進路」を教えてください。

飲食人大学卒業後は、私の母が経営しているおばんざい居酒屋で、飲食人大学で学んだお魚料理や煮炊きものなどを少しずつ提供するようになりました。

ある時、母の体調が思わしくない状況が続き、定休日を1日から2日に増やす決断をし、それと同時に、飲食人大学で学んだお寿司の知識と技術を活用しコース提供を週1回、始めることにしました。1年〜1年半程度、おばんざい居酒屋と並行して、週1回のお寿司のコースを提供していましたが、ある日母が私の目の前で倒れるという出来事があり、そのときにこのおばんざい居酒屋の形態でやっていくのは厳しいと感じ、去年(2023年)の8月末頃からお寿司屋さんとして営業をすることになりました。

「新しいことを教えてもらいたい!」の気持ちでやりきった3ヶ月

——なぜ、寿司職人になろうと思ったのですか?

理由は2つあります。まず1つ目は、私の母のおばんざい居酒屋が8席のカウンターのみのお店で、そのカウンターを見て、「お寿司屋さんっぽいカウンターやな。何か使われへんかな。」と思い、寿司職人になることを考えました。2つ目は、料理を勉強するにあたって一番最短で卒業できる学校が飲食人大学だと知ったことです。飲食人大学では「3ヶ月でプロの寿司職人になれる」と謳っていたので、応募しました。

——実際に「飲食人大学」に入学してみて、いかがでしたか?

入学した当初、私は包丁を握ったことすらありませんでした。芸人としてだらしない生活を送っていた私にとって、毎朝起きて夕方まで授業を受け、未経験のことに挑むという生活はかなりハードでした。特に私は覚えるのが非常に遅い方でしたので、心が折れそうになったり、これができるのか不安になったりすることがしばしばありました。

しかし、母がお店を営んでいたので、飲食人大学で教えていただいたことをあたかも昔から知っているような顔で少しずつ実践してみました。すると、「美味しいね」や「美味しくなったね」「こんな料理があるんや」と言ってもらえ、励みになりました。こういった声のおかげで「明日もしんどいけど、また新しいことを教えてもらいたい」という気持ちになり、なんとか乗り越えられたと思います。

——その間はお笑い芸人の仕事もこなしつつ、通学もしていたんですか?

恥ずかしい話ですが、お笑い芸人の仕事はコロナ禍からほとんどなくなってしまい、月に2回あるかないかという状況でした。昼間は学校に通い、夜は母の居酒屋を手伝うというサイクルでした。稀に仕事が入ると学校を休ませてもらうこともありましたが、先生が親身になって「昨日はこんなことをやってたよ」と遅れた分を補うために、追加で教えてくださったおかげで遅れを感じることはありませんでした。

​​——授業の中では、具体的にどのようなことを学んだのでしょうか。

まず、包丁の使い方や魚のさばき方、そして目利きなど、料理の技術はもちろん学びましたが、それ以外にもお寿司の歴史や経営の仕方など、非常に具体的な知識を得ることができました。例えば、リサーチの方法や原価の計算など、実践的なスキルも学ぶことができたのは大きかったです。

このカウンターはまさに私の舞台。「美味しい」の笑顔が、何よりも生きがい。

——飲食人大学の学びの中で、今の仕事に活かせていることはありますか。

お寿司の歴史などは、料理を提供する際に一言添えてあげたり、お客さんが疑問を感じているときは教えていただいた知識で答えると喜んでもらえたりします。また、お店の経営をする上で、原価の計算や、高価な食材ばかりを買って提供することはできないため、目利きなど、飲食人大学で学んだことは大変役立っています。

——今の仕事のやりがいや、仕事において大切にされていることを教えてください。

このカウンターはまさに僕の舞台だと感じています。お客様の反応が直接伝わってくるので、笑顔や「美味しい」という声が直接耳に入ってくることが、何よりも生きがいと感じます。もちろん、逆の反応もあるかもしれませんが、それも含めて肌で感じ取れることが、喜びの源ですね。

——お店のこだわりを教えてください。

親子で運営していることから、緊張感のある雰囲気よりも、気軽に楽しんでいただける雰囲気を大切にしています。提供しているお寿司のコースは比較的安価のため、敷居が高いと感じているお客様にも取っかかりとなってもらえたらと思っています。お寿司のコースを楽しんでいただいた際に、このお店で「これが美味しいね」と思っていただければ、もっとさまざまなお寿司の楽しみ方を知っていただけるきっかけとなると思っています。また、コースの特徴としては、毎日市場に足を運び、お魚屋さんと話しながら旬の食材を取り入れた内容を心がけています。

——今、大変人気で、先まで予約が埋まってるとお伺いしましたがいかがですか?

そうですね。ありがたいことに、約2ヶ月先まで予約で埋まっている状態です。

今後は自分ならではのオリジナルティをどんどん表現していきたい。

—今後の夢や目標について教えてください。

寿司職人として「自分ならではのオリジナリティ」をどんどん表現していけたらいいな、と考えています。

——最後に、入学を検討されている読者にメッセージをお願いいたします

入学を希望されている皆さん、少しでも悩んでいるのであれば、一歩踏み出してみることをおすすめします。私も一歩踏み出したことで、人生が大きく変わりました。数ヶ月間挑戦するか悩んでいましたが、もっと早く行動していればよかったなと後悔しています。私は新しい世界に飛び込んでみて本当によかったと感じていますので、悩んでいるのであればまずはぜひ見学をしてみてください。

店舗情報

【店名】小よし(こよし)

【住所】大阪府大阪市都島区東野田町3-11-18

【問合せ】080-2748-3114(完全予約制)

【営業日】月・火・木・金・土・日曜日

【ランチ】12:00〜※日曜のみ

【ディナー】18:00〜/20:30〜※月・火・木・金・土曜日

【定休日】水曜日(不定休あり)

【URL】https://www.instagram.com/koyoshi.okannomise/

  

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