飲食人大学で学んだ技術を武器に、北陸の魚をより輝かせる寿司職人、松下凌さん。板前、仕入れ、卸業にも携わる彼の活躍とは。
松下凌さん(まつした・りょう)
祖父の和食屋を継ぐために、飲食人大学で技を磨き、現在は複数店舗の経営者。飲食人大学で学んだ江戸前寿司の技法と北陸地方の魚を掛け合わせ、「鮨海舟」では板前として腕を振るう傍ら、仕入れや卸業にも携わる彼の活躍に迫りました。
《経歴》
2015年3月 私立大学 卒業
2015年4月 広告会社に就職
2015年7月 魚屋に転職
2016年12月 飲食人大学(名古屋校)寿司マイスター専科で修業
2016年10月〜 名古屋の高級寿司店で勤務
2017年1月〜 地元の飲食店で勤務
2018年5月〜 福井・あわらにて「鮨海舟」開業
祖父の和食屋を継ぐために飲食業界へ転職。
——飲食人大学に「入学されるまでの経緯やご経歴」を教えてください。
4年制の大学を卒業後、広告会社に入社し、営業担当をしていました。その後、祖父が経営している和食屋を継ぐために、飲食業界に入ることを決め、魚屋で1年程経験を積んだ後、飲食人大学に入学しました。
寿司屋が少ない福井県で感じたビジネスチャンス。
——飲食人大学「卒業後の進路」を教えてください。
卒業後は名古屋の高級寿司店で短期間ですが修行をした後、地元の飲食店で経験を積み、飲食人大学卒業から1年後に独立しました。
——飲食業の中でも、なぜ「寿司」を選んだのですか?
地元である福井県のあわら市ではお寿司屋が少なかったため、ビジネスチャンスを感じ、お寿司に興味を持ちました。いろいろ調べた結果、寿司職人の道を選ぶことにしました。
——福井県は蟹など海鮮が有名なイメージがありますが、寿司屋はあまりないのですか?
そうですね。隣の石川県はお寿司激戦区と言われていますが、福井県は寿司屋さんが少ないんです。
実践重視のカリキュラムで意識の高い仲間と切磋琢磨し学んだ3ヶ月。
——寿司職人を目指すにあたって、「飲食人大学」で学ぼうと思った理由を教えてください。
入学前の先生方との面談を通じて、飲食人大学の実践的なカリキュラムと、短期間で計画性のあるカリキュラムに魅力を感じました。特に、他の学校よりも実践的な学びができる環境が整っていると思い、入学を決めました。
——実際に「飲食人大学」に入学してみて、いかがでしたか?
今の仕事に繋がる学びができたので、とても良かったです。全くの未経験で寿司屋で修行される方もいますが、飲食人大学を経て基本的な技術と知識を身につけた後に寿司屋で働くことで、学ぶスピードや理解の深さが変わると感じています。そのため、まず飲食人大学で学んだ後に寿司屋で働くことができたのは、とても良かったと思っています。3ヶ月という期間も短すぎず長すぎず、ちょうどバランスの取れた学びの期間だったと思います。
また、義務教育とは異なり、生徒全員が目的を持って入学するので、意識が非常に高く、切磋琢磨できる環境が良かったです。特に隣で学んでいた同期生は飲食業界の経験が10年程あり、良い影響を与えてもらいました。そんな同期生達からの影響も受け、学校外でも勉強する意欲が湧きました。
——授業の中では、具体的にどのようなことを学んだのでしょうか。
それぞれの魚に最適な仕込みの仕方を一つひとつ丁寧に教えてもらえる点が印象的でした。例えば、「魚だからこう」ではなく「ヒラメに対してはこれが良いよ。鯛に対してはこれが良いよ。」という風に教えてもらうことができ、現在も実践しています。
北陸の海と江戸前寿司の技が奏でるハーモニーを提供。
——卒業後に就職されたお寿司屋さんではいかがでしたか。
卒業後に就職した名古屋の寿司屋は、愛知県で食べログで1位を取るようなレベルの高い高級店でした。正直、そこの親方からはもう少し修行が必要だと見られていたと思います。しかし、その後、就職した飲食店では、寿司を握る業務を任せていただきました。これは、飲食人大学での学びの成果だと感じました。
——飲食人大学の学びの中で、今の仕事に活かせていることはありますか。
たくさんありますが、特にお寿司の基本的な部分を学んだことが役立っています。例えば、魚に一手間加える技法や所作などは、今でも活かしています。
——現在、経営されている「鮨海舟」の特徴やこだわりを教えてください。
北陸地方は魚が豊富に取れる地域ですが、この地で取れた魚を、飲食人大学で学んだ江戸前寿司の技法と組み合わせて、良いところを引き出すというところがこだわりです。コースでは煮穴子など、江戸前寿司の技法を織り交ぜるということを意識して提供しています。
——松下さん自身のお仕事でのこだわりを教えてください。
やりたいことや興味があることには、まず挑戦するというスタンスです。その姿勢で飲食人大学にも飛び込んできましたし、今でも興味があればとりあえず試してみるという精神で仕事に取り組んでいます。
——現在の主なお仕事の内容はどのようなものでしょうか?
複数の店舗を経営していますが、主な仕入れは私が担当しています。また、一番最初に始めた店舗「鮨海舟」の板前としても活動しています。
高品質な北陸の魚を「寿司」と「卸業」を通して届けたい。
——今後の夢や目標について教えてください。
現在、北陸の魚を主に取り扱い、高品質の魚を寿司屋を通じて販売したり、卸業も営んでいますが、その卸業を通じて他県にも提供できるよう取り組んで行きたいと思っています。例えば、福井県の甘えびなど、何かしらの形で提供できる環境を作っていきたいと思っています。
——松下さんは提供するだけの寿司職人とは異なり、仕入れや卸業もされていますが、その掛け合わせによる強みはなんでしょうか?
様々なことに携わっていますが、共通点は全て魚と寿司です。そこは絶対にブレないようにしています。
魚と寿司を連動させて様々な方面で仕事ができるというところが強みです。例えば、高価格帯の寿司屋を開いて、若手の職人を雇うとします。その際、5年後に握ってもらうのではなく、スーパーの卸先を探し、若手の職人に練習の機会を与えるために、一貫あたり100円など安価で引き受け、握ってもらうということもできます。スーパーからすると寿司屋の寿司が並んでいるという売り方ができます。このように、教育としての役割も果たすことも強みといえます。
——最後に、入学を検討されている読者にメッセージをお願いいたします。
もし迷っている方がいれば、ぜひ足を運んでみてください。自分の経験から言えるのは、この学校のクオリティは間違いなく高いです。ですので、迷っている方はぜひ一度訪れて、この環境で学んでみてください。
店舗情報
【店名】鮨海舟(すしかいしゅう)
【住所】福井県あわら市二面44-17-1
【問合せ】0776-43-0223(完全予約制)
【営業日】月・火・木・金・土・日曜日
【営業時間】18:00〜22:30
【定休日】水曜日