まさに二刀流を実現!サロン経営と寿司職人、二つの夢を叶えた原朋之さんの軌跡とは。
原 朋之さん(はら・ともゆき)
美容師歴20年、美容室を含むサロンを大阪に複数展開・経営する原朋之さん。新たな夢を追いかけ、飲食人大学に入学。寿司屋を開き、寿司職人とサロン経営との二刀流を実現した彼に、寿司職人を目指したきっかけや今のお仕事のやりがいについて聞きました。
《経歴》
1998年 専門学校 卒業
1999年 美容室に就職
2011年 美容室を開業
2021年 飲食人大学(大阪校)寿司マイスター専科で修業
2021年〜 大阪・福島にて「期鮨 野良り」開業
10年後を想像したとき、憧れの寿司職人に挑戦してみたいという気持ちが芽生える。
——飲食人大学に「入学されるまでの経緯やご経歴」を教えてください。
私は美容師歴20年程で、当時、「スタッフが辞めない美容室」を作りたいという思いから、経営に取り組んでいました。その結果、10年間で1人もスタッフが辞めない美容室を実現しました。スタッフたちの情熱が高く、彼らの自分自身が成長したいという気持ちや情熱に共感しましていました。
ある日、スタッフとの会話の中で、自分自身の目標や夢について考える機会があり、私自身にも新たな挑戦や学びを求める気持ちが芽生えました。
私は昔から「職人」に興味があり、大工や飲食業界だったら寿司職人に憧れを抱いていました。10年後の自分を考えたとき、女性の髪を触りながら「かわいいね」と褒めているよりも、寿司職人として寿司を提供している姿の方がかっこいいのではと思うようになりました。
検索したところ、大阪市福島区(現在は生野区に移転)に「飲食人大学」があることを知り、見学に行くことにしました。ここだったら寿司職人の基礎を学ぶことができると感じ、応募することにしました。
コロナ禍に直面し、自ら寿司屋を立ち上げることを決意
——飲食人大学「卒業後の進路」を教えてください。
当初はサロン経営の傍ら、週に一度、自己の学びとして友人達の経営する飲食店を巡りながら、ポップアップ形式の寿司イベントを開催したいと思っていました。しかし、卒業した直後はコロナ禍で、緊急事態宣言や感染拡大防止策のため、飲食店が閉店している状況でした。この状況下で寿司を握ることは難しく、また熱意も冷めてしまう恐れがあり、急遽、自分で寿司を握れる場所を確保し、自らお店を立ち上げることにしました。
——お店を作られたのは何年になりますか。
2021年の3月に飲食人大学を卒業し、3ヶ月の試運転を経て2021年7月に正式に開業しました。
新しい技術やアプローチによって進化する寿司の面白さ。
——寿司職人を目指すにあたり、飲食人大学で学ぼうと思った理由を教えてください。
福島区でサロン経営をしていたのですが、当時、同じく福島区に飲食人大学があったため、近いので見学してみようと思ったのがきっかけです。
——なぜ寿司職人になろうと思ったのですか?
元々料理が好きだったわけではありませんでしたし、寿司についてもあまり知識がありませんでした。しかし、寿司屋に客として訪れた際に、大将の立ち振る舞いがかっこいいと感じたことや、寿司が非常にシンプルであることに魅力を感じたからです。寿司を学び、2年間が経過した今、料理や寿司の深みに改めて気づかされています。
——寿司のどんな部分が深いと感じますか?
私は寿司屋に行くことが好きで、さまざまな高級店に足を運びます。そこで感じるのは、大将によって言っていることが本当にさまざまであるということです。これを美容師の世界に例えると、異なる技術やスタイルを持つ美容師がいるように、寿司職人も特定の流派が存在せず、どのお店でも幅広いスタイルの寿司を楽しむことができるという感じです。どこどこで修行したというような人もいて、そういう人達が高級店で活躍しているというのはありますが、彼らでさえ提供する寿司に微妙な違いがあります。これは、若い寿司職人たちが技術を突き詰め、新しいアプローチや味わいを追求して進化しているからだと思います。このように進化し続ける方に、何か教えてもらうと新しいことがどんどん出てきて勉強になります。
私自身は、目新しい寿司を提供するつもりはありませんが、シンプルな中身でも美味しさを追求します。技術の進化もあり、寿司の美味しさが昔よりも増していると感じます。この進化しているという感覚が、寿司職人をやっていてとても楽しいと感じるところです。
——実際に、「飲食人大学」に入学していかがでしたか?
初めはとても緊張しましたね。学び直しというか、先生も年下なので、どんな感じだろうと思っていました。毎日、脳みそをフル回転させ、新しい情報がどんどん入ってきて、新鮮な気持ちで通っていたので、3ヶ月で6kg痩せました(笑)
授業では、手を挙げるタイミングにも競争がありました。先生が「この魚を触りたい人」と言ったとき、自信がなくて手を挙げられなかったこともありました。しかし、毎回手を挙げる子もいたりして。大変でしたが、本当に楽しかったです。
約10人程の生徒がいるクラスでしたが、私は中間層くらいの年齢で、海外志向の子やさまざまな経営者の方もいました。私はコミュニケーションを取るのが好きなタイプなので、いろいろな人と話す中で、今でも美容室に髪の毛を切りに来てくれたり、海外で活躍している同級生と連絡を取ったりしています。こうした交流は財産だと思っていて、本当に良い出会いがたくさんありました。
常に新しいアイディアを考え、お客様に喜んでもらいたい。
——飲食人大学の学びの中で、今の仕事に活かせていることはありますか。
先生からは料理の基礎を教わりました。出勤したら、仕入れた魚を運び、鍋に火にかけるというというところから始めます。やはり「基本に忠実に」と思っていて、例えば、出汁を取って茶碗蒸しを作る作業も、餡によって味が変わり、餡によって季節を感じていただきます。しかし、出汁の部分は本当に基本であり、それを守らなければ何を学びにきたのかわからないという感じです。「基本に忠実に」という考え方は、今でも守っています
——今の仕事のやりがいや、仕事において大切にされていることを教えてください。
私は、寿司職人とはサービス業だと考えています。技術はもちろん大事ですが、お客さんの顔色や雰囲気を見て気づき、行動に移すことが重要だと思っています。
やりがいは、毎回季節が変わるたびに食材が変えられるので、新しいアイディアを考えることが楽しいです。「メニューがいつも違うね」と言われることもありますが、常連のお客様にはいつも同じではなく、何かを変えています。例えば、前回はタレで調理した煮ハマグリでも、今回は塩にしてみたり、煮汁にハマグリのだしを多めに入れてみたりします。その変更点をお客さんに伝えると、こちらの方が好きだと言ってくれることもあります。お客様は前回の味を覚えていないかもしれませんが、やはりこうした行動がお客様を引きつける要因なのだと思います。
やりがいは常にあり、今までとは違う角度で人と繋がるというか、美容師をしていた時には出会えなかった、新たな出会いがたくさんあり、それが面白いと感じています。
飲食人大学に入学し、たった3ヶ月で人生が変わった。
——今後の夢や目標について教えてください。
もともと若いときから海外でチャレンジしたいと思っていました。寿司は文化だと考えており、こうしたツールを1つでも持っていれば、海外でもとても需要があると感じています。ただ、それだけが目標ではありません。寿司職人としてだけでなく、自分のできることを増やし、人々を喜ばせたり、称賛されたりしたいです。
——最後に、入学を検討されている読者にメッセージをお願いいたします。
私が42歳(取材当時)であり、美容師として働きながら寿司職人もしているという話が出回るようで、寿司屋や美容室のお客さんがこの話を聞きに来てくれます。話を聞いた人たちは興味を示し、「行きたい」「自分もやってみようか」とよく言われるので、本当にやってみたらいいよと思います。ここは火曜と水曜日しか営業していないので、冗談で「うち、木、金、土、日曜日は空いているので、卒業した後はここで握れますよ」と言ったりします。
美容師として下積み時代を経験しており、その中で人に対する礼儀作法やサービスマンとしての気づきを学びました。寿司職人になるためには10年の下積みが必要だと言われていますが、30代や40代の人が再び1から下積みをする必要はないと思います。社会人としてのマナーや知識を持っている人が多いと思いますので、技術や文化、知識に触れる機会があれば十分だと思います。
私は本当にたった3ヶ月で人生が変わったので、90万や100万の学費はそれに見合う価値があると感じています。卒業後も料理に関する質問をLINEで受けてくれたり、アフターケアをしていただいていますので心配することはありませんでした。行く価値があると思います。気になったら行った方がいいと思います。私はそういう気持ちは大切にした方がいいと思います。
店舗情報
【住所】大阪府大阪市福島区福島1-6-18
サンライズビル 3F
【問合せ】インスタグラムのDMにて
ご予約受け付けております
@sushitime.norari(完全予約制)
【営業日】火・水曜日
【ディナー】19時〜
【定休日】月・木・金・土・日曜日
【URL】https://tabelog.com/osaka/A2701/A270108/27124376/