飲食人大学

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「自分らしさ」をお店の形に!夫婦で寿司店を運営する山田修平さん

山田修平さん(やまだ・しゅうへい)

千葉県八千代市で寿司店「ときずし山田」を運営する山田修平さん。大学生時代に飲食業界で働くことを心に決めて和食店で修業。父親のお店を引き継ぎ、高級寿司店へリニューアル。夫婦二人三脚でおいしいお寿司と笑顔を提供しています。調理経験者である山田さんが飲食人大学で学んだこと、夫婦で寿司店を運営する楽しさや工夫、秘訣を伺いました。

≪経歴≫
前職:和食店で調理担当、マネジメント
2006年 父の寿司店で手伝い
2007年 父から店を引き継ぎ「TOKISUSHI」の店主になる
2017年 飲食人大学東京校 寿司マイスター専科 卒業
卒業後、店舗をリニューアルし「ときずし山田」をオープン

父親の寿司店を引き継ぐ前から学ぶ、和食調理

——飲食業界に興味を持ち始めたのは、いつですか?
大学2年生の頃です。下田徹さんの「板前修業」という本を読んで、自分が作った料理で目の前にいる人を喜ばせられるのがいいな、この業界なら食っていけるだろうと思ったのがきっかけです。

——なるほど!一冊の本との出会いがきっかけだったんですね。飲食人大学に入る前にも飲食業界での経験があったんですよね?
はい、大学生のときは魚屋でバイトをしていました。実家が寿司屋をしていたのですが、当時はよく自分で魚を買ってきて、店で下ろす練習をさせてもらってました。

卒業後は、和食店で経験を積みました。大学を卒業してから飲食業界での仕事を本格的に始めるのでは遅いのではないかと正直焦ってたので、率先して仕事をしてました。

父親のお店を引継ぎ、寿司屋の運営

——お父様のお店を引き継いだ経緯を教えてください。
親父が67歳くらいのときに70歳で引退したいと言っていました。そうすると寿司を握れる人がいなくなるので、業態転換も視野にいれていたんです。

——そうなんですね。でもそのまま寿司屋を続けることにしたのはどうしてですか?
どんな業態がいいかを考えながら周りの飲食店関係者を見ていたら、経営をするだけでなく現場で調理や接客をしている人が多かった。その姿を見ていたら、やはり自分もカウンターに立ってお客さんに料理を提供したくなったんです。和食店を退職して手伝おうと考えていましたが、親父の持病の悪化が分かり「これは自分がやるしかない」と27歳で継ぎました。

店舗プロデュースに魅力を感じ、飲食人大学へ

——お店を継いでから飲食人大学に入学するまで10年ほどありますよね。すでにお店の経営をしているのに、入学しようと思ったのはなぜですか?
「寿司屋とは何か」を学びたかったからです。親父のやり方を一度リセットして「自分の店」を作りたかった。そんな時に飲食人大学について書いた本「寿司修行3ヵ月でミシュランに載った理由」を読んで、飲食人大学と卒業生だけで運営している「鮨千陽」の存在を知り、非常に感銘を受けたのがきっかけですね。3ヶ月の勉強で寿司店経営までできるならば実践的なカリキュラムなんだろうなと思いました。

あと開業サポートも魅力的でした。卒業生だと店舗の設計や価格設定、メニューについてプロに相談できる「開業サポート」を特別価格でやってもらえると聞きました。動機の70%くらいは開業サポートですね。

——そうだったんですね。お店の運営をしながら学校に通うことに、家族から反対の声はありませんでしたか?
全然なく、妻はいいんじゃないかと応援してくれましたね。在学中も店は営業していたのですが、発注は電話でもできますし、安心して任せられるパートの人もいたので問題はありませんでした。

——なるほど。飲食経験者として、カリキュラムはいかがでしたか?
入学式の翌日から魚を捌いたり寿司を握ったりと思っていた通り実践的でした。自分は経験があったので、同じ班の人に教えてましたね。最後の対面授業では、寿司屋で提供するコースを生徒が考えるので、基礎、方向性、ゴール、心構えが勉強になりました。

開業サポートで高級感あふれる寿司屋へリニューアル

——開業サポートでは、どんなことをしてもらいましたか?
最初に髙田正光先生(※1)から内装、メニュー、仕入先の選定など、何をサポートしてほしいか希望を聞かれました。お願いしたのは内装とメニューの内容です。内装全部とメニューをお願いしました。

——内装のリニューアルはどのように進みましたか?
鮨千陽のようにまな板とお客さんとのカウンターがフラットが良いと内装の希望は言いました。設計はすべて髙田先生がやってくれました。設計図を書いたり、業者との打ち合わせや手直し、見積金額の交渉も本当にすべてです。

高級感のある素晴らしい内装にしてもらいましたね。個室との境を格子にすることで、カウンター席のお客さんは格子の向こうが特別な空間だと感じるように。個室のお客さんは自分たちが特別な空間にいると感じられる。それぞれ別空間をイメージして、特別だと感じてもらえうような作りにしていたり。開業サポートをしてもらって、席数は減らしましたね。

※1高田正光:飲食人大学統括講師。寿司職人として修行後、100店舗近い飲食店の海鮮食材バイヤーを経験。ミシュラン掲載店「鮨 千陽」のほか、多くの寿司店のプロデュースに携わっている。

——メニューではどんなアドバイスをもらいましたか?
髙田先生に数字をしっかり気にすること、一品のためだけに魚を仕入れるのは極力やめることアドバイスをもらいました。その結果、客単価が19,000円くらいで、コースのみの予約制にしています。カウンターでお酒も飲まれる方だと25,000円くらいになりますね。

コースに使う食材だけを予約分のみ仕入れるので、ロスはほとんどありません。作業も効率化できて、人件費の削減にもなっています。

——内装やメニュー以外では、どんなアドバイスをもらいましたか?
驚かせるためにひと手間や演出も大事だと言われました。たとえば茶道のようにお茶をたてるとか……あまりしゃべらずに聞かれたことだけ答えるとか。お客さんが緊張するくらいの空気感だと「良いお店に来た」と思ってもらえるといったところまで計算していて、本当に髙田先生は天才だと思いましたね!

夫婦二人三脚で繁盛店を目指して

——先生のアドバイスがあっての今なんですね。どんなところを意識していますか?
今はどれだけお客さんを笑わせるかを意識しています。

先生のアドバイスをもらって、高級店にリニューアルしました。新型コロナウイルスの影響もあり、今まで東京で食事をしていた方が、地元でおいしいお寿司を食べたいと自分の店を発掘してくれて、新規のお客さんがも増えました。

だけどなかにはこのお店に来ると、銀座や都内の良い所にいるみたいって緊張しちゃう地元のお客さんも多いんです。せっかく来ていただいたので、楽しく食事してほしい。それに自分の性格的にずっと黙って寿司を握るのは合わないみたいで(笑)

なので料理は一流のものを提供して、会話は和気あいあいとした居酒屋の様な雰囲気にしようと思いました。1年に1回のお客さんを増やすより1ヶ月に1回とか3ヶ月に1回来てくれるようなお客さんを増やしていけば、お互いハッピーになれると思ったんですよね。

——食事がおいしうえに楽しいと幸せですよね。そのためにどんな接客をしているんですか?
最初の10分程度は緊張してもらって、そのあとはは積極的にほぐす方向にしますね。

積極的に声をかけたり、ちょっとくすっと笑ってしまう言葉を言ったり。お客さんの好みや趣味を把握して、料理や寿司を握りながら会話の中に入れていけばお客さんも覚えてくれてたんだって思ってもらえますよね。お客さんも家族構成や趣味などの話ができれば面白いだろうなと思うんですよ。そうやってお客様に「楽しかった、また来たい」と思ってもらえるように意識してます。

——お客さんとの交流を楽しんでるんですね。
はい、SNSでもお客さんと交流しています。2回目、3回目と来てもらうためには、InstagramやFacebookなどのSNSが大事ですね。期間限定で提供しているメニューは目の前で調理してライブ感を味わってもらっています。それをお客さんがInstagramでうちのお店を紹介する投稿をしてくれて、それを自分のSNSでも紹介して。

——SNSの存在は大きいですね。ご夫婦での役割分担はどのようにしてますか?
基本的には自分が握りを、妻が加熱調理を担当しています。妻は栄養士の資格を持っているので、調理は安心して任せられます。妻はお酒が大好きなので、お客さんにあったお酒選びもしてくれます。

——女将はお酒に詳しいんですか?
そうですね。酒屋の社長と仲良くさせてもらってます。酒蔵に連れて行ってくれたり、勉強会をやってくれたり田植えしたり、蔵の人とお酒を飲む機会があったり、蔵の人がお店に来てイベントをやったり。熱い思いを聞いたり、テクニックを学ばせてもらったりする機会が多いので、おのずと詳しくなりますね。うちのお店にはドリンクのメニューを置いていません。基本的にお酒選びは女将に任せてもらいます。料理に合うお酒や飲み方の説明をするので、お客さんには好評です。

——心強いですね。
はい。調理やお酒の提供だけでなく、自分が握りで忙しいときにお客さんを和ませてくれるのも妻です。おいしい寿司とお酒に楽しい会話と、自分たちらしさが出せているなと思います。

飲食人大学は寿司職人の第一歩

——飲食人大学での日々を振り返ると、山田さんにとってどんな3ヶ月でしたか?
飲食人大学は「ここから寿司職人のスタートだ」といえるほど、大きな存在でした。髙田先生の指導と、卒業後の開業サポートがあったので、今の自分があります。

——とても大きな存在だったのですね。最後に入学を検討している人や開業希望の人へメッセージをお願いします。
お店を経営したり、お店で働きながらだとできないことがあります。それは他のお店にたくさんいくことです。学校に通っているうちに、ネタケースがないような高級寿司店や、繁盛しているおまかせスタイルの寿司屋にたくさん行ってください。10軒や20軒行って、寿司の握りの見せ方や接客の仕方をインプットして、学校でアウトプットしてみるべき。

たとえ学校で習っていないとしても、先生にこんな出し方をしていいですかと聞けば、いいよと言ってもらえるはずです。人気店がなぜ人気店なのかを取り入れれば、現場に立つときやお店を出すときにも実践できます。

もちろん授業でインプットして授業でアウトプットするのも大事です。
寿司店でインプットして授業でアウトプットする、これを繰り返すと圧倒的に定着がいい。ぜひ実践してください。

——寿司店でインプットして、授業でアウトプットする。すぐにでも生かしてもらえそうですね。ありがとうございました。